紀州漆器とは・組合について
産地としての背景、紀州漆器の特徴、紀州漆器協同組合の役割をご紹介します。 ご注文・ご相談は電話受付にて承ります(オンラインカート休止中)。
紀州漆器の特徴
毎日の食卓で使いやすいお椀やお盆をはじめ、丈夫で扱いやすい漆器が揃っています。 長く使える実用品として、家庭用はもちろん、飲食店など業務用途にも選ばれています。
記念品・引き出物・式典用など、用途やご予算に応じた漆器をご提案します。 名入れや数量のご相談にも対応し、法人様のご利用にも多く実績があります。

紀州漆器について
日本三大漆器の産地、和歌山・黒江
紀州漆器は、和歌山県海南市の北西部にある「黒江地区」を中心に生産されている、日本を代表する漆器産地のひとつです。古くからこの地は漆器職人の町として栄え、現在でも通りを歩けば漆の香りが漂うような情緒ある街並みが残っています。
黒江地区には、町家が互い違いに建ち並ぶ「のこぎり状(鋸歯状)」と呼ばれる独特の家屋配置が見られ、これは限られた敷地の中で、漆器づくりに欠かせない自然光を効率よく取り入れるための工夫とされています。こうした町並みは、漆器産地としての歴史と、職人たちの暮らしの知恵を今に伝えています。
会津塗(福島県)、山中塗・輪島塗(石川県)と並び、日本を代表する漆器産地として「日本三大漆器」の一つに数えられ、昭和53年には経済産業大臣より「伝統的工芸品」の指定を受けました。
長い歴史の中で培われた技術は、今も多くの職人たちによって脈々と受け継がれています。
「用の美」〜暮らしの中で息づく器〜
紀州漆器の最大の特徴は、「実用性」と「美しさ」の融合にあります。
漆器というと「高価で扱いが難しい」「特別な日のもの」というイメージを持たれがちですが、紀州漆器は古くから「庶民の器」として親しまれてきました。
丈夫で扱いやすく、それでいて手にした時の温もりや口当たりの優しさは格別です。
華美な装飾だけで終わらせず、日々の食卓で使われてこそ輝きを増す「用の美」の精神が、紀州漆器の根底には流れています。
このように、日常の暮らしに寄り添う漆器文化が、紀州漆器のものづくりの根底には息づいています。
伝統と革新の融合〜多様なニーズに応える技術力〜
紀州漆器は、伝統を守るだけの産地ではありません。時代ごとのライフスタイルの変化に合わせ、常に新しい技術を取り入れてきました。
伝統的な「木製漆器」における高度な塗りや蒔絵の技術を継承する一方で、現代の生活様式に合わせた「合成樹脂製品」の開発にもいち早く着手しました。
これにより、電子レンジや食洗機に対応した器や、業務用食器、インテリア用品など、多種多様な製品を生み出しています。
「変り塗」と呼ばれる独創的な色彩表現や、あえて塗り跡を残す根来塗(ねごろぬり)の技法など、伝統的な手仕事の味わいから、現代的な機能性を持つプロダクトまで、
幅広いラインナップを揃えられる懐の深さが、紀州漆器産地の強みです。
紀州漆器の歴史
紀州漆器の歴史は、日本の漆器文化の中でも古い系譜を持ち、室町時代にまで遡ります。
起源:根来寺と僧侶たちの手仕事
近江系の木地師たちが渋地椀を作ったのが始まりとされていますが、大きな転機となったのは、現在の岩出市にある「根来寺(ねごろじ)」の存在です。
当時、根来寺の僧侶たちは、寺で使用する膳・椀・盆・厨子などの什器を自らの手で作っていました。
これが、現在も高い評価を受ける日本の代表的な漆器技法「根来塗(ねごろぬり)」の起源です。
下地に黒漆を塗り、その上に朱漆を塗る手法ですが、未熟練の僧侶が作ったものは使用するうちに表面の朱が磨耗し、下地の黒が所々に現れました。
この自然な経年変化が「趣がある」として茶人や通人たちに愛され、独自の美意識として確立されました。
発展:黒江への移転と紀州藩の保護
その後、豊臣秀吉による根来攻めの際、難を逃れた僧たちがその技術を携えて海南市(黒江地区)に移り住み、漆工に従事したことで産地としての基盤が築かれました。 江戸時代中期(徳川中期)には、紀州徳川家の手厚い保護のもとで生産体制が整い、産地として大いに繁栄しました。
革新:時代を超える技術への挑戦
江戸後期にあたる文政九年(1826)には、小川屋長兵衛が堅地板物の製作に成功し、安政時代には蒔絵による加飾技術が発展。
長崎や神戸を通じて海外への輸出も行われるようになりました。
明治維新により藩の保護を失い一時衰退の危機に瀕しましたが、明治3年の本格的な貿易開始を機に回復。
他産地から沈金彫や蒔絵の技術を積極的に導入し、技術革新を図りました。
昭和に入ってからは、天流塗・錦光塗・シルク塗などの「変り塗」が次々と考案され、紀州漆器の表現の幅はさらに広がりました。
昭和24年には重要漆工集団地として国の指定を受け、昭和53年2月には通商産業省(現・経済産業省)より「伝統的工芸品」の指定を受けるに至ります。
現在もなお、和歌山県を代表する伝統産業として、歴史を受け継ぎながら新たな可能性への挑戦を続けています。
このように紀州漆器は、長い歴史の中で育まれた漆器技術と美意識を受け継ぎながら、日本の漆器産地として、現在もなお進化を続けています。
紀州漆器強度組合 概要
- 所在地
- 〒642-0001 和歌山県海南市船尾222番地
- 電話番号
- 073-482-0322
- FAX番号
- 073-483-2341
- sikki@flute.ocn.ne.jp
- 設立年月日
- 昭和22年5月19日
- 代表者
- 代表理事 中村 俊之
- 組合の主な事業・活動等の紹介
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- 紀州漆器まつり開催
- 全国漆器展出展
- 品質表示証紙の印刷等の共同施設の運営管理
- 組合員及び従業員の健康診断・有機溶剤健診の実施
- 組合員のための労働保険事務組合、火災共済協同組合、事務、自動車事故費用共済等の受託又は代理事務
- 日本漆器協同組合連合会の全国大会
- 漆器蒔絵体験教室の開催
- 公共施設等の蒔絵パネルの制作